日本海事新聞(2018年6月25日発行)「Nissei International Co.,Ltd、タイでの和牛販売、冷凍冷蔵倉庫」の記事が掲載されました。

●日成:タイ低温倉庫稼働順調/和牛販売も好調

 京浜港を基盤とする海貨業者の日成(廣瀨史雄社長)が、2017年に地元物流企業と合弁でタイ・バンコクに設立した冷凍冷蔵倉庫が順調に稼働している。同倉庫はバンコク市内中心部で絶好の立地ということもあり、引き合いも多く年内には満床になる見通しという。また、日成は日本からタイへの和牛輸出を荷主(荷送人)として手掛けており、同倉庫を拠点に現地での販売も順調という。日成ではタイで冷蔵倉庫など物流業にとどまらず、商流も含めた多様なサービスを提供していく。

 日成はタイ物流大手CTIと合弁でCTIコールドチェーン(CCC)を設立。CCCはバンコク市内中心部に冷凍冷蔵倉庫を建設し、昨年12月から稼働を開始した。倉庫の延べ床面積は4000平方メートルで、3温度帯(常温、冷蔵、冷凍)に対応。セミオートラックを導入し、パレット収容能力は4000枚。このうちマイナス18-25度の冷凍倉庫のラック収容能力は2300枚。
 バンコク市内中心部から20キロ圏内は原則、営業用冷凍冷蔵倉庫の新設が禁止されており、多くはバンコク東部バンナ地区の幹線沿いに立地している。CCCは当局から特例で新設許可を取得し、バンコク市内中心部のクロントイ地区に開設。倉庫施設には加工ルームを併設しているため、保管してある肉などを必要量だけ加工して提供することが可能となっている。

 日成はこれまで、北海道の「ふらの和牛」(ブランド和牛)を毎月、荷主(荷送人)として航空便で輸出していたが、CCC倉庫稼働に合わせて今年3月から海上輸送に切り替えた。日成が自社で仕立てている海上冷凍混載輸送便を使ってタイに富良野産和牛3トンを輸出した。和牛は日成が調達から輸送手配を行い、さらにタイ側でも現地法人である日成インターナショナル(NIC)が通関やCFS(コンテナフレートステーション)を担当してCCCの倉庫で保管、加工販売するなど自社グループでの一貫体制を構築した。

 数トンの在庫を置いてバンコクの日本食レストランなどに即納できる体制を整えたことで引き合いは増えており、「タイ国内以外にもラオス・ビエンチャンのスーパー向けにトライアル出荷を行ったほか、バンコクで日本食品を調達するラオスやクウェートなど在外日本国大使館からの引き合いもある」(日成の佐藤建部長)。
 CCCの倉庫から市内レストランへの配達は、CTIがバイク便で行っている。このバイク便には日成が販売している保冷機材箱「クールボーイ」に高機能保冷剤「メカクール」を搭載し、安定した輸送品質を提供している。
メカクールについてはCCCが配送のために1000枚購入したほか、NICが現地インターネット通販サイトでも販売するなど普及しつつある。今のところ月間300枚の販売実績があるようで毎月増えており、物品販売でもNICを支える事業の柱の一つとなりつつある。

 現在では想定以上に和牛の需要が強く在庫が減ったため急きょ、「6月末にも日本から海上輸送で補給の数トンを輸出する」(佐藤部長)という。タイでのふらの和牛の販売も軌道に乗りつつあるため、今後はノーブランドの黒毛和牛や交雑種(国産牛)で通常のタイ人が購入できる価格帯の販売も行い日本より輸出量を増やす。18年は10トン以上の和牛の輸出を見込む。

《本件に関するお問い合わせ先》
株式会社日成 営業部 佐藤建まで
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