日本海事新聞(2017年10月13日発行)「Nissei International Co.,Ltd、タイでの新倉庫稼働に関する記事」が掲載されました。

●日成/タイで冷凍冷蔵倉庫に出資。

 京浜港を基盤とする海貨業者の日成(本社・東京都港区、廣瀬史雄社長)は、タイの物流企業などが設立した冷凍冷蔵倉庫会社に資本参加し、11月の新倉庫稼働に合わせて同国で保管から配送までコールドチェーン業務を本格的に開始する。バンコク市内中心部という好立地にある新倉庫を拠点として、日成の「クールボーイ」(保冷箱&保冷剤)を使ったバイク便でホテル・レストラン・高級スーパー等への食品配送サービスなどを提供。タイを中心にコールドチェーンを軸にした事業を拡大していく。

 日成が資本参加したのは、タイの物流大手CTIと、大手食肉卸業者(45年間)として地元で定評のあるウドム・サプライが設立したCTIコールドチェーン(CCC)。
日成タイ現地法人である日成インターナショナル(NIC)の廣瀬晋也マネージング・ディレクターはCCC社のディレクターにも就任。同社の経営に参画する。

 CCC社は現在、バンコク市内中心部に冷凍冷蔵倉庫を建設中で、庫内などもほぼ完成。11月にも稼働開始を予定する。倉庫の延べ床面積は4000平方㍍で、3温度帯(常温、冷蔵、冷凍)に対応。セミオートラックを導入し、パレット収容能力は4000枚。このうちマイナス18-25度の冷凍倉庫のラック収容能力は2300枚。

 現在、バンコク市内中心部から20キロ圏内では、営業用大型冷凍冷蔵倉庫の新設は禁止されている。今回、CTIとウドムはタイの大手企業ということもあり、当局から特例で冷凍冷蔵倉庫の新設許可を取得。バンコク市内中心部のクロントイ地区(クロントイ港から近い)で物流施設の整備にこぎつけた。

 冷凍冷蔵貨物をバンコク市内に配送する場合、郊外の大型冷凍冷蔵倉庫からだと交通渋滞の影響で、現状では1日1~2往復が限界となっている。しかし、CCCの施設は市内中心部に位置しまた「クールボーイ」(保冷箱&保冷剤)を使ったバイク便で配送するので1日何度もの往復が可能。食品などの冷凍冷蔵貨物の配送拠点としては絶好の立地となる。

 新倉庫での取り扱い品目は、食肉や水産品、アイスクリーム、シュークリームなどの食品類。
株主であるウドムが大手食肉卸事業者ということもあり、集荷には自信を示す。また日成も現在、タイでは保冷機器などの販売に加え、富良野和牛(2016年北海道産黒毛和牛品評会No,1)を大量に輸出しており、保管場所兼配送拠点として活用する。

CCC倉庫から市内レストランへの配送ではNICの保冷機器である「クールボーイ」(保冷箱&保冷剤)を搭載したバイク便で行う。まずはバイク便10台からスタートし、需要に応じて増便していく考え。
 CCCでは冷凍冷蔵倉庫のほか、敷地内に4-5階建ての事務所棟を建設する予定。事務所棟には、食肉の加工場やパッキングなどプロセスセンターも入る、1階には各種食肉サンプルを提供するレストランもつくる。事務所棟はこれから着工し、来年末の稼働を予定する。

 

●日成タイ現地法人の日成インターナショナル(NIC)/FDAライセンスを取得。

 日成のタイ法人である日成インターナショナル(NIC)は、10月6日付でタイのFDA(食品医薬品局)の輸入ライセンスを取得した。日成は現在、北海道の富良野産牛肉を毎月、荷主(荷送人)としてタイへ輸出しているが、FDAライセンス取得によりタイ側でも輸入者として取り扱える体制を整える。今後は日成グループが出資するタイ・バンコクの冷凍冷蔵倉庫(CCC)を保管拠点として活用し、富良野産黒毛和牛を中心とした食品販売をタイやその周辺国にも広げていく。

 日成インターナショナルは2016年5月、CTI社など地元企業と合弁で設立。高機能保冷剤メカクール、保冷箱など資材の販売を中心に、タイでの事業を手掛けている。
 今回、日成インターナショナルが取得したFDAライセンスは、冷凍食肉と冷凍水産品の2種類。日成では現在、富良野産黒毛和牛を毎月、荷送人として輸出している。今回のFDAライセンス取得により、今後は日成インターナショナル(NIC)が荷受人として和牛の輸入者となり、日成グループが発着地で一環して取り扱える体制が整うことになる。

 タイを中心とした東南アジアでは日本食の人気が高く、日本食材の輸出が増加傾向にある。一方で安定したコールドチェーン網の確立に加え、販路の確保が大きな課題となっている。日成ではCCCの株主である販路を持つ地元大手食肉品卸事業者と組むことで、こうした問題を解決。タイを足掛かりに、周辺国まで日本食材の販路を拡大していく考え。